佐川美術館の山下清展を観てきました。
山下清は映画やドラマで大分知名度高い作家のようですが、どういう訳か私は全然山下清の映画、ドラマは観たことがなく、作品についても良く知らなくて、なにかぽっかりと穴みたいになっていたのですが、ある程度その穴を埋められるかと思い開催中の山下清展に行ってまいりました。作品数も充実していて、画集でぱらぱらとは観たことのある作品をじっくり観ることが出来ました。個々の作品の強度はすさまじいものがあります。ただ、山下清という作家の実体についてはなかなかつかみにくいというか、常に回りの人たちの色々な思惑とのからみがあるので、それこそどこまでが山下清の真意なのか、やりたかったことなのかが見えにくいというのも感じました。まあどのような現場でも理想像に実際の状況をこじつけようとする力はありますが。
しかしたとえこの作品群が、やりたかったこととやらされたことの混在だったとしても、作品の前だとけっこう集中して観てしまうもので、いまの自分からするとかなり収穫のある作品体験ではありました。
作品の劣化や贋作などの問題もあるようですが、そういったこといろいろ込みで、考えさせられる展示でもありました。
図録も勢いで買ってしまいましたが、この展覧会、巡回なのかどうなのか、この図録は今回の展覧会のみに対応しているのか、なんだかいくつか気になる所があります。山下清の作品はもう暫く色々な観点から追い続けてみる必要がありそうです。