過去の展覧会: 個展「中断と再開」アートコートギャラリー 2015
「中断と再開」 2015年6月9日 – 7月18日 アートコートギャラリー (大阪)
Interruption and Resumption, June 9 – July 18, 2015, ARTCOURT Gallery, Osaka
子育てが始まったからというのもありましたが、この展覧会を準備していた頃は、本当に何をやっていても中断を余儀なくされる日々で、イライラすることも多かったような気がします。何をするにせよ、「軌道に乗せたい」と思うのが人情というものですが、もうそれは諦めて、中断と再開の繰り返しこそが我が人生と開き直った時期でもありました。
しかしその開き直りは、単なる気の持ちようの問題をこえて、絵の成り立ちにも作用し始めました。
例えば馴染みのない言語で書かれた本を辞書と往復しながら読む時、物語は逐一中断され、単語の訳や、発音記号や、本筋とは関係のない例文が物語に割って入ってくる。そうして形成されるミルフィーユのような読書体験は、滞りなく物語を追いかけるのとはまた違う影響を読み手に与えます。何と言っても、物語を仲立ちに読み手は少しづつ知らなかった言語をその身に染み込ませていくのです。何かが途切れ途切れになっても、その分、別の何かと何かが結びつきを持ち始める。そういうこともあるのだということを、日常においても、作品作りにおいても強く意識し始めていました。
撮影:表恒匡 / Photo: Nobutada Omote
Courtesy of ARTCOURT Gallery